宮田哲郎のボウリングQ&A

ボウリング指導者にとって、最も重要なことはなんですか?基本的指導のポイントは?

ちょっと昔、すみ光保プロや宮田哲郎プロの3日間講習を受け、非常に感銘を受けた者です。いま、自分が教える立場になり、指導者がいかに難しいものかが身にしみて分かるようになりました。あらためて質問したいことは、ボウリング指導者にとって、最も重要なことは何か、基本的指導のポイントは、ボウリング技術の根本は何かをお答えいただけると嬉しいのですが。
質 問 者
東北の県連指導者・歴40年


回 答

  少なくとも1冊、本が書けそうな重大なご質問にたじろいでいます。昔は未熟だった、浅知恵な講習を恥じるからです。

 ともあれ、できるだけシンプルに、誤解を恐れず、断定的にお答えしましょう。指導とか教育となると複雑なテーマで、本人の社会的ポジションや環境、そのことに対する素養や思想、経験や価値観まで勘案して答える必要があるのですが・・・。

 ですから、私の考えに肯けないところがあるかもしれません。しかし、せっかくですから、勇気を奮って、おこたえします。

 一般指導者のゴールは、その人をスポーツ好きにするか、どうかにあります。勝敗や順位で評価されるオリンピック選手や専門の競技選手とは全く異質で、かつ重要な目的があることに注意するべきです。

 そこで、競技選手と一般人の指導は、完全に分けて考えます。しかし、わが国では部分的、断片的な「技術指導を最重視」する傾向が強く、優勝者の話を聞いたり、一緒にプレーを見ることを好むのですが、一方で、その選手を育てた指導者の苦労話を聞きたいと思う人は多くない現実があります。

 しかし、トップ選手は、すでに「出来上がっているか特別な素質を見せる」上玉を選んで指導するのです。ですから、普通の人には無縁で、ホントは他人の話であることに、気がつく人は意外に少ないのが皮肉です。

 更にいえば、この場合、往々にして指導者自身が一流選手であった場合が多く、悪く言えば「自己流」の教え方で通している場合も少なくありません。自己流は分かり易く、指導者の実績で説得力がありますが、実は理解することも技術をマスターすることも難しいところが多いのです。

 自分がプレーすることと教えることは、全く別物です。

 米国メジャー・リーグは、「名プレーヤー即ち名監督ならず」といいますが、教える側は「教えることの科学」を修めるための勉強や無数の経験をしておく必要があり、理論どおりには行かないこと、教わる側の期待と心理を考えた人間関係までマネージする力が要求されます。

 さて、一般に指導者は「教えることがすきで、好きで・・・」と言う人が多く、教え子の成長をともに喜び、失敗に泣く人間性がなければ、つとまりません。対象レベルに合わせて指導は段階的であり、教え子と常に話し合い、納得させ、「できないことをできるまで」根気よくつきあうことが基本中の基本です。

 そして、命令したり、強制したりすることがあっても、基本は腐らせない、けなさないことです。頃合を見て励まし、ほめるなど、細心の注意を払うのです。

 ボウリング種目の特徴は「手足のタイミングあわせ」が何よりも先行しますが、出来上がっている(アベレージ170〜180点)人の場合、あまりいじらないのが正解でしょう。練習方法も単調ではすぐに飽きるので、使用するレーンやレーン・コンデイションまで変えるなど、種目の特性を配慮した工夫が必要です。

 また、とくに早いレーンや遅めのコンデイションで練習するプログラムを入れましょう。上級者でも「一年中同じ曲がり」のレーンがよいレーンだと思っている人が多いのですが、スポーツ・ボウリングの真髄は、「そのときどきのレーン・コンデイションに合わせて」打つことであることを強調しま
しょう。

 競技は、絶え間なく変化するレーン・コンデイションとフックの度合いを観察、アジャストに細心の注意を払い続けるので、体よりもはるかに「頭が疲れる」特徴があります。とくに、内省的な性格の人は、プレー中には気持ちのオン・オフ(精神集中の切り替え)をコントロールさせることが大切です。

 疲れ果てるまで投げ続けるような猛練習は、よくありません。ゲームのスタミナは長いウオーキングなど軽度の有酸素運動で養う方が効率的です。

 いったん、投球のコツを掴んだら、途中で短い休息を入れて、よいイメージを確かにするための練習をやや長時間にするのが正解です。やや乱れてきたら休息させ、なぜ投げ方が悪くなったのかを自問自答するようにアドバイスしましょう。

 集団指導では、技術をすぐに理解する人、理解が遅く、なかなかできない人などいろいろです。気落ちする人がいないか、個人差をよく見て、一人一人に適切な心配りをしましょう。一方的に技術と心構えの「演説をしている」指導はいけません。

 指導は「相手の立場」に立って、まず相手を理解することが先決です。そして、指導技術よりも忍耐、辛抱、根気が大切であることを忘れないことが大切です。

 最後に、ボウリングの基本技術と発達段階について、図表を作りましたのでごらんください。


ボウリングの基本技術と発達段階について

技術評価の基準は平均点(アベレージ)ですが、段階ごとにマスターすべき技術があります。そして、技術の発達は順調ではなく、図のように階段が高かったり、低かったりします。普通、アベ150〜160までは順調に上がりますが、180〜190になると長い停滞があり、途方にくれるはずです。

 つまり、体力があって練習さえすれば誰でも200アベになると思うのは、大いなる間違いです。投げ方が一定しなればなるほど、レーン・コンデイションにぴったりとあわせる究極の技術(頭脳的なプレー)がより重要になり、しかもボール・チェンジと言う難題が持ち上がってくるのです。

 そこでは、何が必要かって?

 昔々、アベレージは[お金で買う!]と冗談言って、叱られたことがありました。勿論、正しい練習の方法と量のことですよ・・・。

 では、また専門講習会でおめにかかれますように!